クロード・デュガが白ワインを造っているってホントです!
ブルゴーニュ・シャルドネ Bourgogne Chardonnay
2018年のヴィンテージから初リリース。
区画はジュヴレ・シャンベルタン村下方のプレソニエール Pressonnier。
実は7年前くらいからこの畑を所有し、シャルドネを栽培していたそうですが、植え替えが必要な部分もあって収量が少なく、家族で消費してきたとのこと。
若樹も育ってきた今、「さすがに家族では消費しきれなくなった」とのことで、2018年のヴィンテージから販売開始。
60年程度の古樹と、5~6年、4~5年の若樹を合わせたキュヴェ。
「貴方がたはきっとクロード・デュガの白ワインを初めて試飲する日本人ですよ。」
とレティシアに言われ、興味深々に試飲するお客様(ソムリエさん)は、
「これは美味しいですよ!」
とポジティブな批評。
「白ワインの醸造に関しては、私たちは初心者です。」
とレティシアは笑うけれど、
「それでもブドウの栽培は知っています。」
と、ちょっと胸を張る。
クロード・デュガのラベルで販売されるこのブルゴーニュ・ブランは、ブルゴーニュ・ルージュと同じように樽熟成して瓶詰めされる。
この日まだジブリオットの18年のワインを瓶詰め中で、レティシアの《冬の手》は、澱が皺に深く染み込んでいて真っ黒だった。
十数年前、彼女に初めて会った頃は、「クロードの子供たち」という視線で接していたし、実際、こんな手じゃなかった。そんなことを感慨深く思いながら、
「女性ながら、黒くて硬い、ヴィニュロンらしい手になりましたね。」
と私が言うと、
「手は大切な道具ですから。」
と、頼りになる自分の手を誇りに思っている。
名声を背負ってドメーヌをを継いだ子供たちにとって、ワイン造りは楽しいことばかりではない。
「常に期待に応える上質のワインを造らなければならない」プレッシャーとの闘いから、精神的に解放されることは決してない。
でも、両親が自分たちにそうしたように、まだ年端もいかない自分の子供を畑に連れていくと、母をまねてハサミを持ちたがり、剪定に初挑戦して表情を輝かせるのだとのこと。そんな子供の様子を見て、勇気をもらわない親がいるだろうか。2016年9月生まれのクロエちゃんが、2歳だったころの思い出のビデオを、愛おしそうに見せてくれるのだった。
庭に出れば、いつもは見なかったエスカルゴのオブジェが目に入る。先日ジュヴレ・シャンベルタン村で20年ぶりに開催されたサンヴァンサン巡回祭のために、レティシアと一緒にドメーヌの担い手となって頑張っている弟のベルトランが樽の鉄輪だけで作り上げた作品とのこと。
(2020年2月19日訪問)
著者 ブルゴーニュ・レザンドール
裕子ショケ
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