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Yuko Bourgogne Raisindor

ドメーヌ・クロード・デュガ訪問【オンラインアカデミー】中継記録

更新日:2021年4月14日

一般客の訪問が難しい造り手に呼びかけ、バーチャルツアーに初挑戦。コロナの苦境下で開催したこの初回は、生産者ご本人から「愛好家に」、愛好家から「生産者に」、互いに質問やメッセージをリアルタイムで交換することができた素晴らしい一時でした。




コロナの世情を逸早く捉え、VELTRA社が発展させたオンラインツアー。

「ブルゴーニュでも何か出来るはず」と同社のコロリエとしてお誘いを受け、秋の黄金の丘を皮切りに始めた【オンラインツアー】でしたが、ロックダウンの影響もあり日程短縮。


でもその一歩を踏んだからこそ、お客様からも反響があり、


「観光では訪れることのできないドメーヌを取り上げて欲しい。」


との多くのご意見をいただきました。

最初は「新しい発想のこのバーチャル訪問に、ドメーヌが理解を示し、ご協力いただくのは無理...」との難しさばかりが胸をよぎりましたが、古くから懇意にする色々な人の顔を思い浮かべながら数カ月の準備期間を経て、2021年1月18日(月)、ドメーヌ・クロード・デュガへの訪問が叶いました。


日本への再訪を心待ちにするベルトラン・デュガ氏、コロナさえ解決すれば直ぐにでもブルゴーニュを再訪したいと思っていらっしゃる愛好家の方々、その両方の言葉を思い、最初に私の胸に浮かんだ第一のドメーヌが、ドメーヌ・クロード・デュガでした。


「バーチャルツアー?」

どんなものになるか想像もつかないまま、それでもベルトラン氏は快く引き受けてくださいました。


彼はそのとき希望として、そこで何を成し遂げたいか、私に一つこう言いました。

「そのままの自分を伝えたい。自分はシンプルな人間で、土仕事をするワイン農家です。」


わざわざ極寒の畑での試飲まで提案してくださり、暖かい食卓でご覧になっているお客様にも、常に畑は自然の環境に置かれ、ワイン農家はそこで地に足をつけて仕事をしているのだと、自分の本来の姿が伝われば嬉しいと言って、お客様とのオンラインでの待ち合わせを想像するベルトラン氏はどことなく楽しそうでした。


中継前日は雪。

一週間前に予定されていた最終回線調査は、雪で移動困難のため日時が変更になったほど。自然相手となれば、色々なハプニングが生じます。


当日は曇天模様、ときどき晴れ。

「何ができるのか、どこまで伝える事ができるのか。」

可能性に期待をかけた、初めての生産者とのオンラインツアーが無事、予定通り開催されました。


中継開始は、グランクリュ通りの『シャンベルタン・クロ・ド・ベーズ』にて。

ジュヴレ・シャンベルタンが村を挙げて名声を上げるようになった、この村の歴史の原点となる由緒ある畑です。






クロ・ド・ベーズが出来た630年(日本史に例えるなら飛鳥時代!)から現在に至るまで、つまり1500年もの壮大な歴史を、どう分かりやすく端的に伝えることができるのか…。試行錯誤の末にまとめた自分流のガイドは「先手必勝ジュヴレ・シャンベルタン」に視点を置くこと。時系列にまとめたストーリーを、夫々の畑の映像とともにお送りしました。


また「現地の風景」をご覧いただけるというオンラインの特性を生かして、テロワールや地形、それぞれの畑のワインの個性についても視覚的に解説しました。




途中、ドメーヌ・クロード・デュガの希少なグランクリュの一つ、シャペル・シャンベルタンを訪れ、区画の見分け方を説明。









グランクリュ通りをのんびり歩きながら、愛好家が「きっとどこかで読んだことがあるはず」のストーリーを、現実の風景と照らし合わせてガイドする...そんな本と映画と現実の合間を旅していただけるようなガイドを目指して進行してみました。


この間、回線&音声の状態は理想的で、すべて順調に進みました。
















「あごひげの男」を語源とするジュヴレ。

徒歩ガイドで解説してきた内容を考え合わせれば、この村のワインの個性もしっくりとハマり理解できる。

車に乗り込む前に、解説した内容のトピックを箇条書きにしたものを時系列で投影。



いよいよドメーヌへ移動!ラヴォー渓谷を渡ります。



13世紀の村の教会に隣接し、同世代の建物に本拠を定めるドメーヌ・クロード・デュガ。


古い建物であればあるほど分厚い石に遮断され回線は通りづらくなるので、調査で難しいと判断された局地を巧みに避けながらの訪問。日によっても状態が微妙に異なるので、ある程度賭けでもあります。


中庭で迎えてくださったベルトラン氏。少し緊張気味(?)ヴィニュロンはやっぱりセラーやブドウ畑にいるときが最も自然で彼等らしい。改めてそう思います。


お客様とバーチャルであいさつを交わし、早速ドメーヌの中をご案内。


歴史あるセリエ・オ・ディーム。

ここで嬉しいサプライズ!

なんとクロード氏が登場してくださいました!

「自分は引退した身だから、気を遣わずに進めなさい。」と、しきりに進行を気にしてくださるクロード氏でしたが、

ギャラリーヴューで愛好家の方たちをご紹介したところ、リアルタイムでドメーヌのワインを開けて中継を楽しんでくださっている方々もいらっしゃり、クロード氏の顔はほころび、とても喜んでいらっしゃいました。




ヴィニュロンとしての家族の歴史を語る古いヴィンテージのヴィノテーク。


3人の子供たちに一本ずつ与えられた大瓶マチュザレムは、彼等の人生の節々で開けられ、中身が入れ替えられる度に「何が以前入っいて、いつ開けられ、何を新たに入れ替えたのか」が刻まれています。「そのうち瓶のまわりをぐるりと一周埋め尽くすほどの文字が刻み込まれるでしょう。」とベルトラン氏。



「モーリスから、クロードへ。クロードからベルトランへ。私たちはジュヴレの地に根を下ろすファミリーなのです。」とこの地に対し愛情いっぱいに物語るクロード氏。まさにこの土地に生きる、誇り高き生粋のジュヴレ人たち。



「冬の厳しい自然環境と渓谷の美しい風景を皆様にお届けするのに絶好の場所」とのことで、当初はベルトラン氏の大好きなラヴォー・サンジャックの畑を訪れる予定でしたが、中継当日の直前調査で、たまたまその日の回線が不安定であることが分かり急遽変更、グランクリュ・グリオット・シャンベルタンへ。


しかしこれも回線の原理の七不思議、、さきほど私が一人で徒歩ガイドした道に戻り、そこから数メートル入っただけなのに、音声が乱れ、難関が訪れました。。


ついさっき同じ場所でガイドして問題がなかったという安心感と、現地の私たちの映像と音声は通常通り回っていたという二つの事情から、視聴者側の画像の乱れを察知するのが遅れて中継を続行してしまい、後からセキュリティのビデオを確認して事態を把握するという結果に...。そこで、聞きづらかった会話を書き下ろし、後日ご参加者の皆様にお送りする形で補足させていただきました。


実は畑での会話のために補足説明のスライドも用意していたので、投影できなかったのが残念です、、



しかし、回線が戻ったタイミングで次々とメッセージが寄せられ、ベルトラン氏から皆様へ質問を投げかけたり、お客様もそれに答えてくださったりして、相互の会話が発展していきました。それはやはりバーチャルツアーならではの醍醐味、「一万kmも離れた日本とフランスで、これはすごいことだ。」と言って、クロード氏もテクノロジーの進化に感動しておられました。





















さて、後日談になりますが、ベルトラン氏はこの日を境に、以前から心に秘めていた日本語を習い始め、お忙しい中にも熱心に勉強されています。


次回、日本に来日される際には、ちょっとした会話を直接交わせるようになっているかもしれません。今回のバーチャルツアーはベルトラン氏にとっても心に残るものだったと思いますので、ぜひツアーに参加された方は来日の際そのことを伝えて「日本語で」話しかけてみてください(^-^ç 益々親交が高まるかも...楽しみですね!



ベルトラ社協賛のブルゴーニュ・レザンドール【オンライン・アカデミー】は、ブルゴーニュの四季を追って可能なかぎり秋口まで開催する予定です。詳細はこちらのリンクをご利用ください。










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