9月6日(月)VELTRA社協賛/ブルゴーニュ・レザンドール主催の【収穫特集】『ドメーヌ・クロード・デュガのブドウ収穫準備とラ・フェルム・フリュイルージュのカシスの収穫/リキュール造り』は、返り咲く9月の暑さと収穫期を思わせる爽やかな好天に恵まれ、無事 終了することができました。
ご参加くださったお客様におかれましては、夏休み明けのお仕事に戻られたばかりでお忙しい中、ご都合をつけてくださり本当にありがとうございました!
テーマがテーマだけに、「直前の取材」が強いられ、4日前に収録したビデオを集中して編集して向かえた本番。130本以上あったビデオの中から厳選して、今この時の畑の雰囲気や生産者が説明してくださる知識が全般的に伝わるよう組み立て、生産者の言葉を日本語に訳してナレーションを入れました。
ブドウ畑の「静寂を聞く」のも好きなので、ブドウ畑を包む自然、あの何ともいえない安らぎの波動、気持ちを落ち着かせる何か、生命のエネルギーの息づかいも皆様に感じていただけるよう、時には吹き替えをテロップに代えて、現地の音に耳を澄ませていただきました。
生産者が快く見せてくださった、余すところのない「正直で誠実な仕事ぶり」は、15年以上現地で通訳ガイドに従事し多くの生産者を訪ねていても私自身体験したことのなかったもので、ブルゴーニュの風物詩であり"正念場"でもある『収穫』を間近に、ブドウ樹と生産者が一体となったエネルギーとリズム、その「ブドウと大地と人間」を、日本の愛好家の方々と共有したい一心で制作しました。
生産者との会話で話題になった事は、自ずと畑の中に答えが現れています。映像と現地の音にテロップだけを加えた間合いもとり、お客様ご自身に考えを巡らせていただけるよう工夫もしてみました。
今回は新たに懐かしいお客様がご参加くださることになり、その方々をブルゴーニュにお迎えしたときの思い出を胸裏に蘇えらせていました。事前ビデオ作成中にバグやフリーズに悪銭苦闘しながらも笑)最後まで温かい気持ちで夢中でやり遂げることが出来たのは、一重にそのお蔭だと思います。
ドメーヌ・クロード・デュガ共同当主の一人、ベルトラン・デュガ氏は、収穫直前のお忙しい中、オンライン開始40分後に合流して、皆様のご意見や質問に直接ご回答くださる体勢を整えてくださいました。
前半はカシスの農家をご紹介。
ラ・フェルム・フリュイルージュのオリヴィエ一家が、ZOOMで繋がってギャラリーとしてご参加くださいました。親子3人で画面に登場され、日本のお客様にご挨拶していただくことが出来たのは、直前まで不確定だった素敵なサプライズです。
当日、中継地の気温は30度、快晴。収穫前に決まって吹いてくる爽やかな北風が頬を気持ちよく触れます。
好条件の中、いよいよ中継開始です!
ヴォーヌ・ロマネ村から4km、オート・コート・ド・ニュイのコンカール村『ラ・フェルム・フリュイルージュ』を訪れます。
ワインの有名産地とは一風変わった田園風景。少しだけ夏休みを延長して、その余韻を味わっていただきたかったのです。
村でたった一軒のお店、オリヴィエ氏のアイディアいっぱいの商品が並ぶ可愛い直売店。
自分たちの手で育て、収穫した果物を使用し、大地の恵みたっぷりの現地『ブルゴーニュ』産の自家製ジャム、シロップ、リキュール類、オリジナリティ溢れるカシスのケチャップ、カシスのコショー、カシスバター等々...
そして今回のテーマともなっている『クレーム・ド・カシス』!
フランスで最も飲まれている食前酒、『キール』というカクテルに用いるリキュールです。
こちらの農家ではビオディナミの農法を採用し、栽培だけでなく熟成にも生かしています。音楽のかかった熟成庫も、「熟成を助けるのに相応しい」曲が選曲されていて、それはバロック音楽、この日はモーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジークが流れていました。
そしていよいよ収穫当日。
息の合った若い収穫者たちが集まります。いざ、畑へ。
この日のカシスは、10日前に取材した時のカシスとは見た目も味わいも「天と地」の差でした。収穫のタイミングは、カシスにおいてもこれほどまでに大切なのだという事を改めて実感しました。
一緒に収穫マシーンに乗車させていただいた時の躍動感はひと際で、選果台のベルトコンベアに運ばれてくる「今 摘まれたばかりのカシス」から、強い香りが立ちのぼり、その香りは想像に反して「甘く、心地よい。」カシスの清涼さだけでなく、ブドウの収穫にも共通する糖や酵母に近い香りがして、その香りも一緒にまるごと皆様にお届けできたらどんなに良いかと心から惜しく思いました。
カシスの収穫のビデオ投影中に、仕事着のままで駆けつけてくださったベルトラン・デュガ氏が合流!
ベルトラン氏とクレーム・ド・カシスのテイスティング。
シャンベルタンの門を背景にトクトクとグラスに注がれる色鮮やかなクレーム・ド・カシス。トロリと粘性があって、口当たりが円やかで、バランスの整った優しい味わい。
「自分たちの」クレーム・ド・カシスが夏のグランクリュ畑で飲まれている様子を、オリヴィエ一家も楽しそうにご覧になっていました。急なお誘いにも関わらず、最後までご参加いただき有難うございました!
そして後半。ドメーヌ・クロード・デュガの収穫準備の様子をお伝えします。
中継4日前のブドウ採取に同行して収録・編集したビデオの中から、筋を立てて厳選したのはまず、
◆村名畑ジュヴレ・シャンベルタン『ラ・マリー』、
◆一級畑ラヴォー・サン・ジャック、
◆特級畑グリオット・シャンベルタン
での「ブドウの採取」、そして一度は体験してみたい「畑でのブドウの試食」!
村名ラ・マリーの畑からは「ジュヴレの芯の通った力強さを優しさが抱擁する」ワイン、ラヴォーからは「雄々しく厳しさのある」ワイン、グリオットからは「美しい女性」と称されるワインが出来、その所以となる畑の土壌と環境、日射、収穫直前のブドウの違いをご覧いただきます。
ブドウの大きさ、色、畑の環境...言葉では語れないけれど、見て「聞いて」、感じていただける事をVTRでお伝えできたでしょうか。
その間にもチャットで寄せられた質問や感想は、VTR閲覧中に生産者に説明し、VTR直後に生産者からご回答いただきました。お客様からのタイムリーなご質問やご感想、とても良かったです。ありがとうございます!
ベルトラン氏がご説明くださった、今年の栽培期の天候やブドウへの影響、ブドウ採取の目的と採取の仕方、グリーンハーベストの意義などは、その直後の畑の中での映像に「答え」と「結果」が現れています。
また、一生産者としてベルトラン氏の「人間性」を思わせる車中での会話も、エピソードとしてご紹介しました。
ジュヴレ・シャンベルタン村を訪れた事のある方はきっと懐しく思われるであろう村の中心街の風景なども映し出しています。現地生産者にとっては毎日通い慣れた仕事ルートです。
醸造所へ到着。ブドウを搾ります。糖度計を使って潜在アルコール度を確認する瞬間は、生産者にとっても「ドキドキ」です。
糖度は順調に上がり、前回(4日前)の採取と比べて全般的に約0.5度ずつ潜在アルコール度が上がっていました。その結果から、収穫日の予想と計画を、偉大な父からバトンを受け取った子供たち3人が夫々の考えを話し合います。
搾りたてのブドウジュースの比較試飲は、中でも格別な経験でした。
この段階で、格付けの差が明らかに出ていることに、正直驚きました。何が違うかと言えば、味わいの充実度と強さ、香りの高さ、熟度においてはっきりと分かれるのです。
そして、生産者曰く「まだ熟し切っていない」兆候は、飲み込んだ後に口の中に残った酸が乾くかどうか。その青みが感じられる場合は、ワインにもえぐみが生まれ、収穫には早いのです。
最後に、気になる「収穫者の食堂」を訪れ、「食事メニュー」についてはお料理担当の妹のジャンヌさんにお聞きしました。
中継最後は、当日の朝に3回目のブドウ採取を終えたばかりのベルトラン氏に、その日得た新たな情報をお聞きします。そして現時点での想定収穫日についてズバリ語っていただきました。予言されたその日程は最後の最後に修正されるのか...それともそのまま遂行されるのか...。今後の天気との駆け引きもあります。
その後「どうなったのか」についてはフェイスブックで繋がっている方に出来る限りお伝えしていきます!
唯一残念だったのはビデオが予想以上に充実した分、中継最後の「生産者とのフリートーキング」がいつもより短くなってしまったこと...。次回の『黄金の丘【秋の醸造特集】ドメーヌ・トロ・ボー訪問』では、その辺りのバランスを調整したいと思います。
また来年3月辺りに、ドメーヌ・クロード・デュガで春の「剪定」から行っている取材内容を纏めて「ワインの完成・瓶詰め」までの一年間の仕事をお伝えするべく、総集編オンライン・アカデミーを構想しております。
まずは、10月20日(水)【醸造特集】「黄金の丘コート・ドールとコルトン・グランクリュのドメーヌ・トロ・ボー訪問」に全力を注ぎます!
共同当主の一人ナタリー・トロ氏を中継で訪ね、新酒の醸造をVTRでジャン・ポール氏とともにお届けし、紅葉の最も美しいとされるコルトン・シャルルマーニュの黄金の畑の中でフリートーキング&ワインの試飲する予定です。秋のブルゴーニュの束の間の旅を味わっていただけるよう工夫を凝らして頑張ります!
ご興味のある方はぜひ、以下のVELTRA社の掲載ページ詳細をご覧ください。懐かしい再会、新たな出会いがありますように。心よりお待ちしております。
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